もっと、君に恋していいですか?
薫は枕に顔をうずめて、志信に嫌われる原因をあれこれと考える。

(志信と付き合ってるって、みんなにハッキリ言わないから…?)

志信と付き合っている事が恥ずかしいわけじゃない。

ただ、いろんな人に二人の事をあれこれ詮索されたり、ありもしない事を噂されたり、冷やかされたりするのはいやだとは思う。

でも、それだけじゃない。

こんな女らしさのかけらもない自分と付き合っていると社内の人間に知られたら、志信が恥ずかしいのではないか。

“もっと若くてかわいい女の子はたくさんいるのに、よりによって笠松は、あの卯月と付き合ってるのか”と、思われたくない。

(今日だって、連れて行った後輩たちは若くてかわいいから、石田さんたちはみんなすごく喜んでた…。志信だって本当は…。)

また薫の中の女としての自信のなさが、志信の隣にいるのが本当に自分なんかでいいのだろうかと心を惑わせた。

(志信の事、すごく好きだけど…こんなかわいくない私じゃダメなのかな…。)





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