もっと、君に恋していいですか?
“薫を泣かせるような事はしない。嘘はつかない。大事にする。約束は守る。”
志信は付き合い始めた時に自分が言った言葉を思い出して、大きなため息をついた。
(一緒にいてくれなくていいなんて心にもない事言って…薫にあんな悲しそうな顔させて…。大事にするって言ったのに一方的に突き放して…。オレ最低だ…。)
薫に向かって言ってしまった言葉を後悔しながらも、自分だけが悪かったのかと言うと、それはどうなのかとも思う。
だけどひどい事を言ってしまったのは確かなのだから、自分から謝るべきなのか。
それとも、薫の反応を待つべきなのか…。
志信は少し迷いながら、スマホを手にした。
発信履歴を表示したつもりが、間違えて着信履歴画面を開いていた。
(まぁ、どっちでもいいか…。)
着信履歴をスクロールして薫の名前を探す。
(あ…あれ…?)
どんなにスクロールしても、そこに並ぶのは会社の同僚や上司、友人の名前ばかりで、薫の名前はどこにもない。
(これってつまり、薫からは電話してくれた事なんてないって事…?)