もっと、君に恋していいですか?

“薫を泣かせるような事はしない。嘘はつかない。大事にする。約束は守る。”


志信は付き合い始めた時に自分が言った言葉を思い出して、大きなため息をついた。

(一緒にいてくれなくていいなんて心にもない事言って…薫にあんな悲しそうな顔させて…。大事にするって言ったのに一方的に突き放して…。オレ最低だ…。)

薫に向かって言ってしまった言葉を後悔しながらも、自分だけが悪かったのかと言うと、それはどうなのかとも思う。

だけどひどい事を言ってしまったのは確かなのだから、自分から謝るべきなのか。

それとも、薫の反応を待つべきなのか…。

志信は少し迷いながら、スマホを手にした。

発信履歴を表示したつもりが、間違えて着信履歴画面を開いていた。

(まぁ、どっちでもいいか…。)

着信履歴をスクロールして薫の名前を探す。

(あ…あれ…?)

どんなにスクロールしても、そこに並ぶのは会社の同僚や上司、友人の名前ばかりで、薫の名前はどこにもない。

(これってつまり、薫からは電話してくれた事なんてないって事…?)


< 68 / 225 >

この作品をシェア

pagetop