もっと、君に恋していいですか?
「…女らしくないって言いたいんですか?」

「ん?そんな事思ってないよ。ビールはそうやって飲むモンでしょ。薫ちゃんが新入社員の頃は、オレまだ未成年だったからね。」

「ハイ。」

「その年の秋にやっとハタチになって、これで薫ちゃんと一緒に酒が飲める!!って嬉しかったんだよ。それなのに、飲みに誘ってもいっつも断られてさあ…。」

「そうでしたか?全然覚えてないです。」

無愛想に返事をしてビールを飲む薫を、敦はニコニコして見ている。

「今日、大変だったでしょ。」

「まあ、そうですね。緊急事態でしたから。」

「で、薫ちゃんはなんで泣いてたの?」

「えっ?!」

唐突な敦の指摘に驚いて、薫はビールをこぼし掛けた。

「アタリだ。」


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