こちら中等部恋愛運営局。
「失礼しますっ」
「吹未ちゃん!
さぁさぁこちらに座ってねー。」
蒼緒の案内(というか誘導)に促され、吹未ちゃんは私の向かいに座った。
「えと...吹未ちゃんは何で恋局に入ろうと思ったの?」
局長である私が言うのもあれだが、恋局の仕事は生徒会活動からボランティア(という名の雑用)まで活動範囲が手広い。
もちろん、入学式で行っていた司会、受け付け等の仕事も正式な活動だ。
《見るが安し 入れば辛し》
周りからそう言われているのも重々承知だ。寧ろそれだけ恋局の活動を見てもらえていると捉えることも出来るだろう。
「あの、私今年受験して入ってきたんですけど...
中学生になったら、みんなの役に立つ委員会に入りたいって思ってたんです...アバウトすぎですよね。」
気づけば吹未ちゃんに興味津々だった局員は、別の意味で彼女の言葉に耳を傾けていた。
「そ、それで...
祖母が、去年から恋局が出来たよ。って教えてくれて。
最初は興味本意で調べてたんですけど、学校の為に頑張ってる人たちなんだなって...」
「ふ、吹未ちゃん!」
麻琴は吹未ちゃんに抱きつくと、そのままきつく抱き締めた。
他の局員も暖かい目で吹未ちゃんを見ていた。
「吹未ちゃん...
これから、よろしくね。」
「え、先輩...」
「佐々木 吹未さん、貴方を中等部恋愛運営局での活動を認めます。」
...反対意見なんて出ないと思い、私の意思だけで吹未ちゃんの入局を認めた。
「それにしても、おばあちゃん詳しいな。
恋局が出来たなんてこの学校に知り合いでもいるのか?」
泰雅の呟いた疑問を聞き、吹未ちゃんの言葉を思い出す。
「あ、まあそんなところですかね...」
はは、と笑いながら言った吹未ちゃんが、少し顔をしかめたのはきっと見間違えだろう。