【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
「あ、琉衣くん!
よかったらこの席どうぞ…!!」
私の前の席に座っていた麻実は、すかさず立ち上がり琉衣くんに席を譲る。
「あぁ、どうもな」
そして琉衣くんが礼を言ってそこに座ると、頬をポッと赤く染めてどこかへ去っていった。
「…キャッ♡
いえいえ!数学頑張ってね〜♡」
なんか気を使わせて悪かったなぁ…。
ごめんね、麻実。
「…それじゃ、始めるね」
「ん」
私は自分の数学のノートを取り出して、それを見ながら琉衣くんに解き方を教えた。
琉衣くんは勉強に関しては私を信用してくれてるのか素直に話を聞いてくれる。
最初は「答え写させろ」なんて言われたこともあったけど、恐れながらも「それはダメだよ」って断ったら、「このクソ真面目!」とか文句言いつつも自分で解くようになってくれた。
琉衣くんはたぶん、根は優しい人だ。
強引でたまに横暴なとこもあるけれど、そこまで無茶な要求はしないし。
話せばちゃんとわかってくれるし。
だんだん私も彼との接し方が分かってきた気がする。