【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜

張り上げた大声と共に、広がる沈黙…。


ドキドキして怖くて、体が震えた。


だけど、琉衣くんの手だけは絶対に離さない。



「……っ」



琉衣くんは私の行動に目を丸くしている。


同じく、小川さんもすごく驚いたように固まっていた。



「あ…ありさ、ちゃん?」



後ろで間の抜けたような樹さんの声。



「…離せよッ!!」



すると琉衣くんは私からバッと手を取り上げる。



「だめっ!」


「ッうるせぇな!なんでお前が…!!」



ーーぎゅっ!



だけど私はもう一度、琉衣くんの右腕をつかまえた。


そして彼をキッとまっすぐ見つめる。



「る、琉衣くんの手は…人を殴るためにあるんじゃないでしょ!!」


「は?」


「そんなことしたら、パンがかわいそうだよ!!」


「………」


< 131 / 388 >

この作品をシェア

pagetop