【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
張り上げた大声と共に、広がる沈黙…。
ドキドキして怖くて、体が震えた。
だけど、琉衣くんの手だけは絶対に離さない。
「……っ」
琉衣くんは私の行動に目を丸くしている。
同じく、小川さんもすごく驚いたように固まっていた。
「あ…ありさ、ちゃん?」
後ろで間の抜けたような樹さんの声。
「…離せよッ!!」
すると琉衣くんは私からバッと手を取り上げる。
「だめっ!」
「ッうるせぇな!なんでお前が…!!」
ーーぎゅっ!
だけど私はもう一度、琉衣くんの右腕をつかまえた。
そして彼をキッとまっすぐ見つめる。
「る、琉衣くんの手は…人を殴るためにあるんじゃないでしょ!!」
「は?」
「そんなことしたら、パンがかわいそうだよ!!」
「………」