【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
琉衣くんと声が被ったと同時に目を見合わせる。
偵察なんて、まさかそんなことを頼まれるとは思わなかった。
「最近話題になってるこの店、知らんか?」
世界さんが指をさしたのはグルメ系雑誌の特集ともいえるページ。
そのお店は写真付きで1ページ丸々使われていて、今かなり話題のお店のようだった。
ーーリーズナブルな限定メニューが大人気!
ーーオシャレな内装。女子会も!
確かに写真もオシャレな感じで料理も美味しそう。
もしかして、琉衣くんと二人でここに行くってこと…?
すると琉衣くんが声をあげる。
「…は?このヒロセって店、わりとちけーじゃん!」
「そうなんだ。隣駅の近くだよ。
次期出店予定のウチの系列店の参考にと思ってな」
「おいおい…また店出すのかよ」
「まぁまだ企画段階だがな」
すごい……
世界さんってやっぱりやり手なんだ…。
「つーか自分で行けよそんなん!それか兄貴が。
俺シェフじゃねぇし」
「いや、それが親父はこの辺じゃけっこう顔知られてるしさ。
何よりこの話題のランチ、カップル限定で…」
「はぁぁ!!?」
「えぇっ!?」