【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
琉衣くんは笑いながらポンと私の頭に手を乗せる。
あぁ…恥ずかしい…。
「でもまぁ、楽しかったのはマジだけど」
ドキ…。
ほ、ほんと…?
「んじゃ、またな」
そのままポンポン、と撫でるように跳ねた手はすぐにバイバイのサインに変わった。
琉衣くんの顔は優しくて。
私はそれをぼーっと見つめる。
顔が、体が、じわじわ熱くなって。
去っていく背中をじっと見送った。
「あ…が、頑張ってね!シフト!」
慌てて声をかけたら、一瞬だけこちらを向いて、また手を挙げる彼。
ドキドキ…ドキドキ…。
心臓の音が鳴り止まない。
どうして…
どうして止まらないんだろう…。
琉衣くんといるとドキドキして、
その言葉ひとつひとつに、いつだって一喜一憂して。
舞い上がったり落ち込んだり。
だけど、どんなに無茶振りされたって、振り回されたって、
琉衣くんに会えると嬉しくて。
一緒にいると楽しくて。
こんな気持ち初めてだ…。
こんなに胸が熱くなるのはきっと、初めて。