【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
明らかに動揺してる。
なんで……
「久しぶり」
そう言って微笑みかける彼女を無言のまま見下ろす琉衣くん。
「……」
私はそれを見てすぐに、この二人には何かあるんだと分かった。
同時に胸がギュッとしめつけられる。
なんだろう…。
「…久しぶり、じゃねぇだろ」
「うん、ごめんね。こんな形で戻ってきて…。
でも私、また新たな気持ちで頑張るから。
もうみんなに迷惑かけたりしない。
だから、あらためて…
”同僚として”よろしくね」
沙良さんは遠慮がちにスッと右手を差し出す。
だけど琉衣くんはそれを拒否した。
「握手とかいらねぇし」
そして鋭い視線を彼女に向ける。
「そう思ってんなら行動で示してくださいよ。
”木下サン”」
「……」
ピシリと場の空気が張り詰めるのがわかった。