【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
ーードンッ!!
琉衣くんは眉間に思いきりシワをよせて、不機嫌そうに壁を叩いて反論する。
さっきまであんなになごやかだったリビングの空気は一瞬にして凍り付いてしまった。
っていうか私…琉衣くんにやっぱり知られてなかったんだ…。
ショックかも…
そのうえ思いきり拒否されて、なんだか心が折れそうになる。
「こら琉衣!失礼だろそんな言い方!
亜里沙ちゃんはうちの店を手伝ってくれるって言ってるんだ。
それに彼女の両親はしばらく不在で海外から帰ってこない。
女の子一人じゃ何かと物騒だろう」
「知るかよ!それが何でうちで面倒見る必要あんだよ!
手伝うって、ろくに働いたこともない素人にわかるわけねーだろ!
とにかく俺は反対だから!帰ってもらえよ!!」
「琉衣!!」
世界さんが立ち上がって琉衣くんを怒鳴りつける。
だけど琉衣くんはプイッと背を向けて、そのままリビングを出て行ってしまった。
シーンと静まり返る空間…。
一瞬にして居心地が悪くなる。
私はなんだか自分がとても迷惑な存在に思えてきて、ほんとに泣きそうだった。
だけど、もう引き返せない。
他に行く場所なんてない。
琉衣くんがあんなに嫌がるとは思ってもみなかった。
というか、琉衣くんってあんな人だったんだ…。
こんなので、私はこの2ヶ月本当にやっていけるのかな……
先行き不安な新生活の始まりに、目の前が真っ暗になったような気がした。