【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
やっぱり琉衣くんは優しいんだ。
だけど、だから、つらい。
彼を好きだと思えば思うほど、自分にはやっぱり届かないような気がしてつらくなってくる。
勝手な被害妄想かもしれないけど、
沙良さんに会って、琉衣くんは態度こそ冷たいものの、やっぱり彼女を意識していて。
意識的に避けてるのだって、もしかしたら過去に振られた傷がまだ残っているからなのかもしれないし…。
そう思ったら、急に自分が琉衣くんの特別でもなんでもないような気がして。
今までうぬぼれていたのがバカみたいにむなしくなったのだ。
「んー!やっぱりAランチおいしい!」
麻実が学食でランチのオムライスを頬張りながら言う。
その幸せそうな笑顔に少し癒された。
「あはは、ほんとだね。
久しぶりに食べたかも」
本当に学食は久しぶりだ。
ここ最近ほぼ毎日お弁当だったから。
たまにはこういうのもいいなってあらためて思う。