【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
***
ーーザァァー、
キッチンのシンクの水が流れ続ける。
私は夜一人、そこで洗い物をしていた。
今日は静香さんが少し風邪気味で、私はシフトがお休み。
だから家の家事はほとんど私が引き受けた。
夕飯はさすがに静香さんも手伝ってくれたけど…。
普段から何でも至れり尽せり世話してくれる静香さんに少しでも恩を返したくて、今日は頑張ったつもりだった。
この洗い物が終わればひと段落。
一人のキッチンはなぜだか落ち着く。
最近はまた、一人になりたくて…
だけどそうすると色々考え出して止まらなくなる。
ーー『琉衣くんはね、4つも年上の女の人と付き合ってたんだよ。
すっごく美人な人。
それまでチャラかった琉衣くんが初めて真面目に付き合った相手みたい。
結局その後、彼女に他に好きな人ができて振られちゃったみたいなんだけどね。
別れた時はかなり落ちてたみたいよ?
だから未だに彼女いないんじゃないって噂されてる。
まぁもうさすがに吹っ切れてるとは思うけどね』