【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
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「あっちゃー…。
コレは明日から手袋だね」
樹さんがそう言いながら私の指に絆創膏を貼る。
二人きりの休憩室は静かだった。
バカな私はよそ見ばっかりして包丁を落として指を切って。
気づいた時には手は血まみれ。
中指の腹がぱっくりと割れていた。
今になって思い出したように痛い。
指が。
ううん、心が。
なんかもうどうでもよくなってきちゃう。
笑えてくる。
あの後すぐ樹さんが私の怪我に気が付いて、手当てのため休憩室に連れてきてくれた。
琉衣くんはなぜか「俺がやる」なんて言ってくれたけど、樹さんがそこは譲らなくて。
「これは先輩の命令」なんてよくわからないことを言って私を連れて行ったんだ。
きっと私が放心状態だったから気を使ってくれたのかも。
察しのいい樹さんのことだから…。