【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
行き場のない感情や疑問ばかりふつふつとわいてきて。
どうしようもなかった。
辛い…
痛い…
痛いよ…。
樹さんは黙りこくる私を見てふぅ、とため息をつく。
「…俺の胸、貸そうか?」
「…へっ!?」
だけどやっぱり彼の冗談は場を明るくする力があるのだった。
私が間の抜けた声を出すと、彼はクスクスと笑いだす。
「いやーごめん、だって…
亜里沙ちゃんあまりにも魂が抜けた顔してるもんだから。
思わず連れ出しちゃったよね。
なんかかわいそうで」
「い…樹さん…」
「俺もね〜、ビックリした。
え?デジャヴ?なんて。
前にもあんなシーン一度あったんだよね」
「そ、そうなんですか…?」