【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜

その時小高くんにふと声をかけられて、私は現実に戻った。


いけない、また余計なことを…



「い…いいよ!どうぞ!

おいしいよ、キャラメルハニー」


「マジ?いただきます」



小高くんはフォークで私のパンケーキを刺して口に運ぶ。


すると、



「ん、うまい!

あ、西村俺のも良かったら食ってみてよ」



なんて言って、自分のココナッツパンケーキを一口フォークに刺すと、私にくれた。



「はい」



目の前に差し出されるパンケーキ。


私の口まで運んでくれる。


そしてそれをぱく、と口にした瞬間、

また私の中で何かがよみがえった。



あっ…。



前にもこんなことがあったなって。


琉衣くんとお店の偵察に行ったとき…


琉衣くんが私にタルトを味見させてくれたんだ。


間接キスみたいだって、ドキドキして……



「どう?うまい?」



…あぁ、ダメ。


私、全然ダメだ…。


なにやってんの。


結局ほら、今だってまた…



琉衣くんのことばっかり……。


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