【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
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お店を出たあとは、少しだけブラブラしてから公園にやってきた。
小高くんは何か話したいことがあるみたいで。
夕方の公園はちょうど遊んでいた子供達が帰るところで、すぐに静かになった。
二人でベンチに腰掛ける。
「…今日は、ありがとな。
テスト前なのに付き合わせてごめん。
でも、来てくれて嬉しかった」
小高くんが少し寂しそうに笑う。
その表情に胸がきゅっと痛くなった。
「そんな、私こそ…、
パンケーキおいしかったし、おかげでテスト勉強はかどったし…
こちらこそありがとう。楽しかった」
彼には申し訳ないことばかりだ。
遅刻して、そのうえうわの空で、気を使わせてばかりで。
せっかくのお誘いなのに、嫌な思いさせちゃったかもしれない。
それなのに嫌な顔一つしないで…
「そっか、よかった。
西村が少しでも元気になればって思ったから。
でも俺じゃあやっぱ、役不足だったかな」
「えっ?」
ドキッとした。
それは…どういう意味…?
「俺本当は分かってたんだ。
西村がたぶん、他に好きな奴いるって。
そのことで落ち込んでるんじゃねーかってのもなんとなく気付いてた。
だけど、だったら俺がかわりに笑顔にしてやれねーかなって思ったんだよ」
どきん…。