【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
最初はただ、気に食わなかった。
兄貴にデレデレするあいつを見て、イライラして。
いじめてやろうと思った。
どうせ二ヶ月もウチに居座る気ならとことんコキ使ってやろうと。
でもあいつはバカみてーに素直で、従順で、一生懸命で。
だんだんと手放すのが惜しくなってきた。
おとなしいくせに妙に根性がある。
泣かねぇし。
しかもたまに物申してくる。
どんだけ俺が怒鳴り散らしてもめげたりしねーもんだから、逆に興味がわいてきた。
そのうえ俺が少し優しくすれば嬉しそうにして。
無邪気に笑う顔は、可愛かった。
特別美人なわけでもない。
着飾ってるわけでもない。
それなのにその辺の女よりずっと可愛く見える。
…不覚だった。
まさかこの俺があいつに惚れるなんて。