【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
〈side亜里沙〉
【side亜里沙】
お父さんの車に揺られながら、窓の外を見てる。
駅の近くの道は渋滞していて、大した距離じゃないのになかなか進まなかった。
今から私はとうとう二ヶ月ぶりの我が家へ。
だけどなんだか現実味がわかない。
宮川家で過ごした時間が濃すぎて、
元の生活に戻るのを無意識に拒否してるみたいだ。
なんだか色々あったなぁって…。
だけど、結局思い出すのは全部…
「琉衣くん…」
小さな声でそう呟いたのを、運転席と助手席の二人は気づいているはずがなかった。
さっきからお店のリニューアルの話で盛り上がっていて、それに夢中。
ようやく再会したっていうのに…ね(笑)
一人で窓の外を眺める。
琉衣くんはやっぱり見送りには来なかった。
仕方のないことだけれど、会えなかったのは少し寂しい。
これからまた元のような毎日が始まって、私は毎日家の手伝いをして学校へ行って。
琉衣くんとはまた何事もなかったかのように、別々に過ごしていくのかな…?