【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
一緒に過ごした日々が嘘みたいに遠く思えて。
まるで魔法が解けて元に戻ったシンデレラみたいに。
今の私には何もない。
ガラスの靴の片方も、残ってない。
琉衣くんにあげたメモの最初のページには、ささやかなメッセージを書いておいた。
本当は好きだって書きたかったけれど、
一度書いて、やっぱり消した。
伝えることなんてできない。
できないよ…。
笑顔でさよならが精一杯だった。
琉衣くんは私がいなくなったら、
毎日自分で起きて、
自分でお弁当を作って、
自分で数学の宿題をして、
自分でやらなきゃいけないことがきっと増える。
そしたら少しでも、私のことを思い出すかな。
私がいなくて少しでも、寂しいって思ってくれるかな。
そう思ってくれたらいいのに。
琉衣くんの中に私が少しでも残っていますようにって、
そんなことを願うばかりだ…。