【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
だんだんと渋滞が緩和されて、また宮川家から遠ざかり始めた。
私は窓の外の景色が移り変わるのをただじっと見ていて。
道を歩く人や、渡る人、いろんな人をぼーっと見てた。
外の風は夏らしく、少しなまぬるい。
もういっそのこと窓を閉めてエアコンにすればいいのに…なんて思うけれど、それをお父さんに言えずにいたら、
なにやら遠くにすごい速さで駆けてくる白い影が見えた。
えっ…?
人が…走ってる。
しかもすごいスピードで。
私はじっと目を凝らした。
まるで何かを追いかけるように、必死で走ってる。
こんな暑いのに、バカみたいに全速力で、いったい何をしてるんだろう。
しかもなぜか、真っ白な服を着て。
よく見るとそれは見慣れたあのコックコートみたいで。
だけど、車が動き出すとすぐに見失う。
気のせいだったのかな、なんて思って。
そしたらちょうど車が赤信号で引っかかった。
お父さんがブレーキを踏む。
”亜里沙!”