【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
チッと舌打ちしながら電話に出る琉衣くん。
「もしもし……、ん?
あぁ、沙良?」
…ドキ。
なんとその電話は沙良さんからのようだった。
私は一気にテンションが下がる。
なんだろう…。
仕事の電話かな?
琉衣くんは急にさっきまでとは違い仕事モードで話してる。
「あー、それ手前がクロワッサンで奥がデニッシュだから。
あーうん。ハイハイ…」
沙良さんとはもう何もないってわかってても、やっぱりこういうのを見ると少し不安になる。
二人は仕事でほぼ毎日会ってるから…。
そしていつのまにか名前呼びに戻ってるのも少しモヤモヤしてたりして…。
意外にも嫉妬深い自分が嫌になった。
琉衣くんは電話を終えるとふぅ、とため息をつく。
「あーわりぃ。
なんかまたあいつ生地がどっちかわかんねぇとか聞いてきて。
昨日俺が仕込んだやつだから」
「そ、そっか…」