【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜
だけど、その話が本当に重大な報告だということを、この時はまだ知らなかった。
いつもどおり制服から着替えて、お父さんの仕込みを手伝って…
そして迎えた夜ーー。
「亜里沙、ちょっといいか」
お父さんが珍しく深刻な様子で私をダイニングテーブルまで手招きする。
「うん。なぁに?」
なにも知らない私はニコニコしながらお父さんのもとへ駆け寄る。
すると、お父さんはいきなりこんなことを口にした。
「実はな…来週からうちの店を2カ月半休業することになった」
「…えっ?」
う、ウソ……。
そんなの聞いてなかった…。
でもそれはつまり…
「あ、改装するからだよね?」
そうだそうだ、店の大規模リニューアルをするからって言ってたんだ。
工事するわけだもんね。
だったら当然かぁ。
「そうだ。店の改装工事のための休業だ。
が、しかし……」
しかし……?
「それに伴い二階の自宅にも工事が入ることになってな、」
「えっ、そうなの?」