奇聞録六巡目



自殺をするために森に来た。


なかなか有名らしく、先客が居た。


どうやら死にきれないらしく、メソメソ泣いていた。


話を聞いてやると、聞いた倍以上の答えが帰ってくる。


なんだ、話を聞いて欲しかっただけじゃないか。

やがて、話疲れたのかウトウト眠りだした。



この場合、俺はどうしたら良いんだ?


死のうとしてここへ来た。


まあ、この寝息を立てている奴の下着を脱がせた。


拒まないな・・・。



起きてるんじゃないか?


脚と足の間に顔を埋める。



風呂に入っていないだろう・・・。

少し臭うが、まあ、いいや。



寝息と一緒に違う声も漏れる。



指にまとわりつく半透明の卵の白身は、際限無く溢れてくる。



なるほど、野外で死ぬか生きるかの時は、お互いこうなるのか・・・。



クタクタになるまで何度も何度も、出し尽くした。



背中の爪痕から血が流れるほどに、何度も抱きしめながら。



朝日か?



ふと、先客を見てみる。


腐乱した死体が転がっていた。


頭は木の幹に落ちて、骨が見えた。



ありゃりゃりゃ・・・。


腐乱したそこからは、虫と一緒に頑張った液体がジュプジュプ、溢れ出ていた。



本当に死にたくなったので、事の顛末を書いて死のう。



あ、この側にある遺体からDNA鑑定して俺の体液が出てきても、こういう訳なので、疑わないで下さい。


では、さよなら。


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