奇聞録六巡目
私は生け贄にされるらしい・・・。
この村にはそんな風習が残っていた。
夏祭りの夜に、岩戸に奉納される。
だから、今夜はわがままし放題だ。
兄さんも、何でも買ってくれると言っているし、少しならお酒も呑んで良いと言っていた。
岩戸に来た。
目隠しをされて、手を縛られて。
膝をついたまま、誰かが祝詞をあげている。
あれ、聞こえなくなった・・・。
何々?どうしたら良いの?
みんなの足音が遠くなるけど、何かが近づいてきた。
あ、痛い!なんで首を掴むの!?
く、苦しい・・・。ああ、死にたくない・・・。助けて!誰か助けて!!
ゴゴゴゴゴゴッ・・・。
岩戸が開く音がする・・・。
きゃっ!!
投げ込まれたみたい、足をぶつけて、凄く痛む・・・。
なに、何をされるの・・・。
助けてよ・・・。
誰でも、良いから・・・。