奇聞録六巡目
近所の空地に数年前からドラム缶が三本置いてある。
中身はコンクリートしかない。
恐らくは死体が入っているんだろう。
夜にこの空き地を通ると、何人かの人がたむろしている。
暗く沈んだ表情で、それぞれが声にならない声で、ブツブツ喋っている。
見ない、聞こえない振りをしてやり過ごす。
だって、着いてこられたら迷惑だから・・・。
ああ、しまった・・・。
目が合ってしまった。
見るなよ、こっちを・・・。