奇聞録六巡目



夜中、ゴミ捨て場に野球帽を被った男が立っていた。



あれ?なんかビジュアル的におかしい・・・。



口しかない・・・。ぞ?


顔の真ん中に大きな穴が開いている?



恐怖と言うより好奇心で、ついつい声を掛けてしまった。



「あの〜顔どうしたんですか?」



野球帽を被った男は、ケタケタと笑いだした。



うわっ!耳に残る声だ。


野球帽を被った男の顔を覗くと、穴の向こうに、又誰かが立っていて、こっちを見ていた。



そいつと、目が合ってしまった。



穴の向こうの誰かが、野球帽を被った男の顔の穴から手を伸ばして、俺の目に指を突き刺してきた。



それから先は覚えていない・・・。



目をやられて状況は解らないが、病院のベッドに俺はいる。



そして、この耳障りな笑いが聞こえている。



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