寵愛の姫 Ⅱ【完】



「……帰りてぇ。」



―――切実に。




莉茉の首筋に顔を埋めて、甘い香りを嗅いで癒される。



「…暁って…。」


「うん?」


「甘えたなんだね。」



くすくすと笑い出した莉茉が優しい手付きで俺の髪を撫でた。



「…お前にだけだ。」


「え?」


「こうして甘えるのはな。」



そんなの、


……お前だけに決まってるじゃねぇか。
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