寵愛の姫 Ⅱ【完】



その姿が見えない動揺に、俺は勢い良く音をたてて座っていた椅子から立ち上がっていた。



「…暁様?」


「……。」



一樹の声にも答える事なく、ソファーに近づく。




ばくばくと心音が煩い。




ーーーどこに行った、莉茉!!



「……、」



その“光景”に、ぴたりと俺の身体が止まる。




ほっと、俺は胸を撫で下ろした。
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