寵愛の姫 Ⅱ【完】



室内に居るにしても、まだ6月に入ったばかりの季節。



なのに、掛ける物が無ければ、風邪を引くかも知れない。



思考が纏まった俺は、一樹に頷く。



「…頼む、一樹。」


「はい、失礼します。」



一礼した一樹が静かに部屋から出て行った。



「…莉茉、脅かすなよな。」



すやすやと俺の上着に顔を埋めて眠る莉茉の前髪を優しく払う。
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