寵愛の姫 Ⅱ【完】

困惑―一樹side―




「遅くなりました。」



毛布を手に部屋に戻れば、莉茉様を膝の上に乗せた暁様がちらりと私へと視線を向ける。



「一樹、助かった。」


「…いえ…。」



私から毛布を受け取った暁様は、そのまま莉茉様の身体を包む。




……その手付きは、何処までも優しい。




和らいだ表情で莉茉様の髪を梳く暁様に、戸惑いを隠せなかった。
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