寵愛の姫 Ⅱ【完】



「…私が絶望したのは、叶くんが茉莉を抱いた事にじゃない。」



暁の顔を見れなくて、その胸元に埋めたまま目を瞑る。



「―――私よりも、茉莉を優先した叶くんになの…。」



あの時、


気付いてしまった私の中にあった醜い感情の正体。





どろどろと沸き上がった叶くんへの激情の名前は




―――“恋愛”ではなかった。
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