寵愛の姫 Ⅱ【完】



離れる心地の良い体温に、一抹の寂寥が募る。




やっぱり、


……そんな俺を親父は楽しそうに見つめていた。



「美夜も座りなさい。」



俺達の向かいに座った親父がお袋を自分の隣の席に促す。



それだけで、年甲斐もなく嬉しそうにぴったりと寄り添う目の前の夫婦。




…手だって握り合ってるじゃねぇか。



息子の前だってイチャつく親父達に、俺は溜め息が溢れ落ちそうになった。
< 157 / 440 >

この作品をシェア

pagetop