寵愛の姫 Ⅱ【完】



「莉茉。」



優しく名前を呼ぶ暁に身体を引き寄せられる。



「―――良かったな。」


「っ、うん。」



啜り泣く私を引き寄せた暁の腕の中で何度も頷いた。




止まらない嬉し涙。




…でも…



それは、決して不快でも嫌な気持ちでもなかった。




悲しいから涙が止まらないんじゃなくて、



……本当に嬉しかったから。
< 175 / 440 >

この作品をシェア

pagetop