寵愛の姫 Ⅱ【完】



「…でも…。」


「……?」


「俺以外の前で泣くなよ。」



最後に低い声で私に釘を刺した暁。



「…な、にそれ…。」



思わず笑いが込み上げてくる。



涙も引っ込んだ。




それでも、


……その声はどこまでも穏やかだった気がする。



「まぁ、莉茉ちゃんは感激やさんなのね。」



私が泣き出した理由を理解したお母さんがくすくすと笑う。
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