寵愛の姫 Ⅱ【完】



慈しむような瞳を親父はお袋に向けた。



「莉茉さんにも母親との思い出を作る為にも、美夜と出掛けさせてやれ。」


「……。」



重い親父の言葉に俺はぐっと、口を噤む。




親の愛情を知らない莉茉。



『両親に対してなんの感情もないよ。』



呟いた莉茉の瞳は揺れていた。
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