寵愛の姫 Ⅱ【完】


「……おい。」


「何よ?」


「莉茉を勝手に連れ出すんじゃねぇぞ。」


「……。」



明後日の方向を見つめるお袋。



…やっぱり。



「連れ出す気でいたんだな。」


小さく溜め息を吐き出した俺は、少しだけ身体を強張らせた莉茉を強く引き寄せる。




そんなお袋に親父はただ苦笑いを浮かべていた。
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