寵愛の姫 Ⅱ【完】

きっちり5分。



マンションの下に横付けされた車に乗り込む。



「頭、どこに向かいますか?」



バックミラー越しに、銀次が俺を窺い見る。




その隣の大雅も、静かに話し出すのを待っていた。



「――ーー銀次、龍神の溜まり場に向かえ。」


「分かりました。」




指示を出せば、銀次が車を滑らかに動かし始める。




揺れに身を任せ、俺はそのまま黙って瞳を閉じた。
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