寵愛の姫 Ⅱ【完】



深紅の薔薇に回りに蔓を散らした構図は、とても綺麗な仕上がりだと思う。



凛としたお母さんにはぴったり合っていた。



「そう?」



満更でもなさそうにお母さんが目元を緩ませる。



「…でも…。」


「……?」


「どうして莉茉ちゃんは羽にしたの?」



爪先から顔を上げたお母さんに私はにっこりと微笑む。
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