寵愛の姫 Ⅱ【完】




「だからかな?構図を考える時に、羽しか思い浮かばなかったんだよね。」



莉茉の視線が自分の爪をじっと見つめる。




憧憬の籠った瞳で…。



「…莉茉が羽を手に入れるのは困る。」


「困る?」



不思議そうな顔で莉茉が、俺を見上げた。





だって、そうだろ?




「俺の側から飛び立っちまうじゃねぇか。」



それは困る。
< 350 / 440 >

この作品をシェア

pagetop