寵愛の姫 Ⅱ【完】

感情―叶side―



「…う、ん…。」



伏せられた莉茉の瞳。




その事に胸が痛むけど、会えた喜びもあった。




…来てくれねぇかも。




そんな俺の不安は、目の前にいる莉茉の姿に掻き消えた。



「大丈夫だ、莉茉。」



俯く莉茉の顔を暁さんが覗き込む。



「…暁…。」


「俺がいる。」


「うん。」



暁さんが莉茉の細くて華奢な肩を引き寄せれば、その表情が和らいだ。
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