寵愛の姫 Ⅱ【完】
「あぁ、総長である叶や、それに近い奴等が使う部屋だ。」
「じゃあ、暁もこの部屋を使ったんだね。」
興味深そうにまた、莉茉が部屋の中を見渡した。
ソファーに当たり前のように寄り添い合って座る2人に、俺はきつく拳を握り締める。
手の痛みで少しだけ頭の中が冷静になった気がした。
愛おしそうに見つめる暁さんに、絶対的な安心感の表情の莉茉。
『…ただし、莉茉が俺の“女”だと言う事を忘れるなよ?』
…あぁ…
分かってるんだよ、俺だってそんな事は。
…暁さんに言われなくても。