寵愛の姫 Ⅱ【完】



莉茉のそんな表情を見せられたら、俺も認めない訳にはいかねぇだろ。



『あいつの身も心も、お前にはもう渡さない。』


揺るぎない莉茉への愛情。



「っっ、」



悔しさに歯噛みした。




あんなに真っ直ぐな瞳で、躊躇いなく告げられる暁さんを、




―――妬ましくも。


―――羨ましいとも。



思う。




…………己の不甲斐なさを思い知らされるような気がした。
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