寵愛の姫 Ⅱ【完】
“あの”日に抜け出せなかったのは、私だけではなかった。
叶くんも、
………囚われていたんだね。
「…もう、良いよ…。」
「……莉茉?」
驚きに顔を上げた叶くんの瞳と私の視線が合った。
「叶くんは、私の事を何も知らなかったんだから、信じられなくても仕方ないもん。」
…茉莉の事も…
敢えて、知られないようにしていた私にも非はあるから…。
叶くんが罪悪感や、謝る必要なんかないんだよ。