寵愛の姫 Ⅱ【完】
「……今日は、叶くんとちゃんとお別れをしにきたの。」
前に進む為に。
“あの日”を、ずっと蟠っていたくはないから。
「…暁さん、莉茉と2人で話させて頂けませんか?」
叶くんが真剣な表情で、真っ直ぐな視線を向けた。
「あ?そんなの俺が許可する訳ねぇだろ。」
「っ、お願いします。」
頭を深く暁に下げる叶くんに、胸が締め付けられる。
「…暁…。」
私が暁の裾を引けば、冷たかった顔に柔らかい笑みが戻った。