寵愛の姫 Ⅱ【完】
「…そろそろお前を返さないと、暁さんが怖ぇな。」
思わず苦笑いが漏れた。
あまり長くは、この部屋に引き止められない。
あの人の莉茉への愛情は半端ないからな。
名残惜しいけど、俺はソファーから立ち上がる。
「莉茉、今日はお前と話せて良かった。」
「うん、私も。」
怯えのない、穏やかな悲痛の莉茉の顔。
目に焼き付けよう。
忘れる事のないように…。
それくらい、
…………良いよな?
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