寵愛の姫 Ⅱ【完】


「…そろそろお前を返さないと、暁さんが怖ぇな。」



思わず苦笑いが漏れた。




あまり長くは、この部屋に引き止められない。




あの人の莉茉への愛情は半端ないからな。





名残惜しいけど、俺はソファーから立ち上がる。



「莉茉、今日はお前と話せて良かった。」


「うん、私も。」




怯えのない、穏やかな悲痛の莉茉の顔。




目に焼き付けよう。


忘れる事のないように…。




それくらい、


…………良いよな?
< 410 / 440 >

この作品をシェア

pagetop