寵愛の姫 Ⅱ【完】



「っ、おはよう……。」




顔が朱に染まった。



暁に見られたくなくて、目の前の胸元に擦り寄る。




「…起きてたのか?」


「…うん。」


「なら、俺を起こせば良かったのに。」




楽しげに暁は私の髪を梳く。



「…………暁の寝顔を見てたから…。」


「……。」




小さく呟けば、暁の手の動きがぴたりと止まった。
< 54 / 440 >

この作品をシェア

pagetop