寵愛の姫 Ⅱ【完】



「…暁、どこかに行くの?」



不安げに暁を莉茉ちゃんが見上げる。



「……いや、どこにも行か―――。」


「若!」



暁の言葉を遮る。



何、莉茉ちゃんに嘘を言おうとしてるんだよ!



この、馬鹿ヤろうっ!!



「……あ?」


「仕事です。」



きっぱり言い切る。



「……チッ。」



舌打ちした暁が莉茉ちゃんの首筋に顔を埋めた。
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