懲りもせず、恋する私
公園の駐車場まで歩き、
キーをピッと押した。

「乗って。」こくんと頷き
助手席に座った。
シートベルトを締め
走り出す。



「少し、長くなるけど…。」
「は、うん」

高速を1時間ほど走り、
緑豊かな静かな場所に着いた。

大きな別荘がたくさん並んで
建っていた。

「ここは?」
「うちが、所有する別荘」

白い外壁の洋館。
まるで、映画の中のような
素敵な別荘だった。

鍵を開け

「入って、適当に座って」
「うん…」

キッチンから、コーヒーを持って
暖炉の有る
広いリビングへ。


「静かなところだね」
「仕事で疲れた時、時々くるんだ」
「明日は、振替で休みだったろ?で
夜になると観れるものがあるんだ」
「なに??」「夜まで…」
「それより、こっち…」
階段を上って
奥の部屋に。
「わぁー!素敵な絵。」
「爺さんが画家でさ。俺が子供の頃は
ここで絵を描いて過ごしてんだ」
そこには、木々の息吹きが感じられる
風景画がたくさん並んでいた、
中には、小さな子供が描いた絵も。
クレヨンで塗られたリスや小鳥の絵。
「可愛いいね。これって??
もしかして」
「そう、俺が描いた絵」
柔らかな色で
一生懸命描いたんだろう。
重なり、何度も塗られた色とりどりの
クレヨンたち。
「お爺さん、翼の事大好きだったんだろうね。お爺さんの絵凄く優しい色」
「両親が忙しくしてたから、俺は
爺ちゃん子だったなぁ〜〜」
「お爺さんは??」
「…。高校生の時、…」
「ごめん。知らなくて…」
「いや、俺さ、爺ちゃんと約束してたんだ。好きな人が出来たら、ここに
連れてくるってさ。だから、」
「翼、ありがとう。」
そこには、
お爺さんの写真が。
手を合わせた。
「はじめまして、佐伯つぐみです。」
「爺ちゃん。俺の彼女だ。
いい女だろ!」
「そのうち、嫁になるから、爺ちゃんの
孫娘だ!」
「翼!私達は、まだ、付き合ったばっかりで…」
「なんで?つぐみは、嫌なのか?」
寂しそうな目をする、翼。
そんな…顔しないで…。
胸の奥がキュンとしてしまって
私は…大胆にも、
翼の唇にチュっと…キスした。
目を丸くして驚く翼。
今度は…翼が、
私を抱き締め、
顎を掴み、
激しく濃厚なキスをしてきた。
「ふっ〜〜う…ん」
「仕返しだ。」



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