懲りもせず、恋する私
いよいよ、百貨店に
乗り込む。

「よし!いくぞ」
「はい。」

スタスタっとスタッフルームに
挨拶に向かうと、
「あら!藤倉くん!今日は、よろしくね
ところで…その人?アシスタント?」
「いや、彼女、佐伯つぐみ、一緒に
今回、開発に関わってくれたんだ。」

「ふーん。そう…」
なんだろ。凄く、威圧感じてる。
バッチリメイク。
長い睫毛。
指先には、綺麗なネイル。
いかにも、出来る女。
モデルさんみたいなスタイル。
…ダメだ。彼女からしたら…
私は、お子ちゃま。
「なんか、大丈夫なの?彼女…。
ジッと見られ、
「良く言えば、ナチュラル?悪く言えば
子供メイク?ふっ。」

「そんな言い方は、やめていただきたい
内の大事な担当者なんで」

「あら、ごめんなさい。」
それから、店内に向かい
並べられた私達の商品。
開店時間と同時に
沢山のお客様が並び
用意していた分が
早い段階で完売した。

控え室にある
椅子にどかっと座った。
「あー。疲れた…。」
「つぐみ?大丈夫か?うん?」
うなだれている私の顔に
目線を合わせるかのように
しゃがみ、
頬に優しく触れる翼。
「平気だよ。ただ…。」私は、
あの美山みどり。
なんで、そんな目で私を睨むの?
怖かった。
翼を好きなのかもしれない…。
臆病な私には
ただ…不安だけが
重くのしかかる。
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