懲りもせず、恋する私
「どうした?また、抱え込んで悩んでるのか?」

優しい瞳で見つめてくれる翼。

美山みどり。
彼女…が怖かった。

まさか、そんな事、言えるはずもなく

口角を無理に上げ

「何でも…ないです。少し、疲れた
だけだから。」

「明日も、忙しくなるだろうから
今日は、早めに帰るといい。俺は、
明日の打ち合わせでたら帰るから…」

ぎゅーっと
翼の手を握り
「かっ、ちょ、一緒が…いい」
「つぐみ…。おかしいぞ?やっぱり…
なんかあったのか?」
「あっ、ごめんなさい。私、帰ります」
椅子から立ち上がって
テーブルの上の荷物を持とうとした。

「つぐみ、待ってろ。俺も帰る。」
「打ち合わせ…は?」
「明日、少し早めにここに来れば
平気だ。さぁ、帰るぞ」

手を繋がれ
そのまま、地下駐車場に向かった。
エレベーターを降り、
止めてある車まで歩く。

カッカッ、ヒールと強い香りが鼻に付く

「藤倉!待ってよ!打ち合わせして
そのあと、軽く食事行くって…」

振り返り、
翼は、
「悪いが、佐伯の体調が悪い。心配だから、送っていく。食事は、キャンセルだ
悪いな」
「何よ!いい大人なんだし
一人で大丈夫でしょ!ねぇ、あなたも
言いなさい。」
胸をえぐられるような痛み。
冷たい視線。
「課長…。私、大丈夫なので、行ってください。」
「ほら、彼女だってそう言ってるでしょ
藤倉〜〜!行こう」

人の気持ちも考えず
自分勝手な言動ばかりの
みどりに、イラついた。

「あのさ〜〜、俺が心配なんだよ。
こいつ、すぐ無理するから。じゃぁ、な
ほら、つぐみ…。帰るぞ」

そんな私達に向かって

「へぇ〜〜。あなた達ってそうゆう関係
なの?上司と部下。いいの?うちのパパに報告するわよ!あんたなんかクビ
にするのなんて、簡単なのよ!佐伯さん
あはは」
上から目線の高笑いが
駐車場に響いた…。
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